あたり前の幸せに気がついて

先日、ボランティアでコロナ鬱の方の相談にのっておりました。


その時にある女性とお話をしたのですが、その時の話を本人に許可をいただいておりますので、ご紹介しますね。こんな時だからこそ、彼女の話を聞いて、皆さんの周りの当たり前の幸せに気が付いてほしいのです。


彼女をA子さんとしましょう。まだ、24歳です。
A子さんは年齢を偽り16歳から風俗店で働いています。彼女は幼い頃から父親の暴力とギャンブルやアルコール依存症から貧困に苦しんでおりました。父親の前では、笑っても泣いても殴られるので、まったく何も感じないようにして生きてきたようです。
母親はなぜか父親と別れることなく、別に妻子ある男性とも付き合っていダブル不倫。仕事が忙しいと、朝から晩まで家を空けるようになったのです。そのため、幼い妹たちの世話や、父親の食事の支度など家事のすべてが彼女の役割になっていたのです。


彼女の家庭を心配して、叔父さんが時々様子を見に来ておりましたが、家族が誰もいない日に彼女はその叔父さんからレイプされてしまいます。まだ小学生だった彼女は、抵抗できずに、ただ変貌する叔父さんの行為に怯えていたようです。その後、その叔父さんは度々家族の留守を狙って訪ねてきて、彼女に性的虐待を重ねておりました。


A子さんは、行為の後に叔父さんから多少のお金が貰えることから、途中から抵抗することを止めてしまいました。叔父から貰ったお金を貯めて、この家を出る資金にしょうとこっそりと貯めていましたが、そのお金も高校1年生の頃に父親に見つかり取りあげられてしまったようです。


あまりの絶望感から、彼女は着の身着のままで家出をしてしまい、東京で年齢を偽り風俗店で働くようになったのです。高校も中退で、相談する相手もいない彼女には風俗で働くことしかできなかったのです。


しかし、新型コロナ感染拡大で仕事もなくなり、手持ちのお金もわずかしかなくなってしまったようです。


そんな彼女の相談内容は、下記のようなことです。


「お金は子供の頃から苦しいのに慣れているから不安はない。でも、みんなが新型コロナに怯えて苦しんでいる様子を知ると嬉しくなる。私だけずっと苦しんで生きてきたと思っていたから、みんなも平等に苦しんでいる姿を見ると、ざまぁみろと思う。そんな事思ってしまう自分は変だとはわかっているけど、きっと私は、こんなことを思ってしまう悪い心の持ち主だから、子供の頃から悲惨な人生だったたのかなと理解できた。


世の中の人は、なんで他人を心配できるの。それは本心なのかな。東日本大震災の時にも感じたけれど、いろんな支援の輪が広がって、親を亡くした子供の夢を叶えるために海外留学の費用を出すというニュースを見て、その子は幸せだなぁと思ったし、妬ましくも思った。大災害でみんなで助け合いましょうという流れになっているから、大勢の人が手助けするだけで、私のように子供の頃から身勝手な親の犠牲になって苦しんでいる子供に手を差し伸べてくれる人なんてあまりいない。


先生も、親戚も、役所の人も最後は見て見ぬふり。叔父さんだってお小遣いくれる分、私にSEXをしてきた。映画の「万引き家族」を見て、私はいっぱい泣いた。だれか心配して側にいてくれる人がひとりでもいたら、自分にも感謝とか、愛とかまともな感情が分かるようになっていたのかもしれない。


馴染みのお客さんが私の仕事が無くなって大変だろうとお金を送ってくれたけど、お金が入った事実はうれしいけど、どう感謝したらいいのかわからない。感謝の気持ちが人には沸かないのに気が付いた。私、人として大切な感情が欠乏している感じがする。自分がちゃんと「ありがとう」とかいう言葉を言えない気がする。「ありがとう」という言葉は、とりあえず言っておいた方が無難みたいな感じで、心から思っているか自分ではわからない。
どうすれば、本当の意味の感謝ができる人になれるの」


というもの。


とても正直で、自分を客観的に見ることができるA子さん。


A子さんには、潜在意識に子供の頃に根付いてしまった絶望感が、根源にあることをお話しました。インナーチャイルドの存在が、実は血の涙を流して、心の中に存在していることもお話しました。


あまりにも傷つくことが多い子供は、絶望の日々を当たり前の日々として受け入れて生きようとします。子供は絶望の中では生きてはいけません。生き延びるために、傷つく感情を感じなくしていくのです。
マイナスの感情を感じないようにすれば、愛がベースにあるプラスの感情も感じなくなります。感謝はプラスの感情ですから、A子さんが感謝の気持ちが分からないというのは当然なんです。


実は、A子さんのように悲惨な家庭に育たなくても、感謝の気持ちが分からない人はいっぱいいます。

感謝は愛とイコールの感情ですから、家庭が裕福でも子供に愛情を表現できない親の元で育ってしまうと、子供は愛されない自分を、当たり前の日常に受け入れマイナスの感情に支配されて生きようとしますから、プラスの感情である感謝ができなくなるのです。


日本に生まれてきただけでも幸せだと感じてください。
当たり前のことがどれだけ幸せか。
じっくりと考える時間はあります。